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高梨農園 高梨尚子さん

生産者の枠にとらわれない、女性ならではの視点で農家の明日を切り拓く

三浦海岸駅前で、自家製の無添加ジャムやピクルスを販売している「手土産いろいろ三浦ストア」。実は、このショップを運営しているのは三浦半島で古くから農業を営む農園だということをご存じでしょうか。野菜の生産はもちろん、女性ならではの視点で三浦野菜を使用した加工品も手掛ける「高梨農園」高梨尚子さんの挑戦の軌跡を辿ります。

代々続く農家に生まれ、迷わず農業の道へ

三浦半島といえば「マグロ」を真っ先に思い浮かべる方も多いと思いますが、野菜も有名で神奈川県内でも有数の「農業地帯」という一面を持っています。三浦市の農地面積は県内の3%ですが、生産高はなんと25%を占めているのだとか。これは、神奈川県でNo.1の生産効率です。
高梨農園を営む高梨家は、古い文献を紐解くと鎌倉時代までさかのぼる三浦きっての旧家の一つ。 農家としての歴史も古く、高梨さんは自分が何代目になるのか分からないほど。四姉妹の次女だった高梨さんは小さい頃から土に親しみ育ちました。その後、服飾系の大学に進学。「卒業後、研究室に務めてから地元に戻って後を継ぎました。」と話してくれました。

「神奈川なでしこブランド」に認定された無添加の手作りジャム

「手土産いろいろ三浦ストア」で人気を博しているのが、高梨農園で栽培した旬の野菜をたっぷり使用した無添加の手作りジャム。野菜をジャムにするというユニークな発想が好評を博し、女性が開発した優れた商品やサービスを認定する「神奈川なでしこブランド」に選ばれています。開発のきっかけは、直売所に来るお客さんの「野菜は重いし、お出かけついでには買えない」という声でした。そこで高梨さんが思いついたのが、「三浦の手土産」として気軽に野菜の魅力を感じてもらえる加工品。しかし、農園だけで手いっぱいで人手が足りず、なかなか着手できずにいたのだとか。そこに妹さんが仕事を辞めて農園を手伝うことになり、二人三脚で開発までこぎつけたそうです。

「うちはこれ!」強気な発想が功を奏して人気商品に

実際の開発にはさぞかし苦労されたと思いきや、「あまり時間をかけなかった」と言います。もちろん、二人が納得できる味に仕上がるまで何度も試作を繰り返したそうですが、広く意見を聞いて回ることはしなかったのだとか。
高梨さん曰く「ジャムやピクルスの甘い・酸っぱいといった味覚は、かなり個人差があります。みんなの意見を聞いていたら、よくある普通のジャムになってしまう。コンセプトがぶれないように『うちはこれ!』というものを決めてシンプルに作りました」。なるほど、出来上がったジャムやピクルスは、野菜本来の美味しさが凝縮されていて、作っている野菜に対する自信が感じられます。
商品ラベルは染色作家の小田中耕一さんによるデザイン。シンプルながらも素朴な温かみが感じられ、店内など随所に高梨さんのセンスを感じる事が出来ます。

もう一つ、高梨農園を語る上で欠かせない加工品があります。それは三崎の「産直センターうらり」で、高梨さんが運営するお店「甘味 くらわんか」の大判焼。夏ミカンや安納芋、カボチャといった旬の野菜を餡に練り込んだ和風スイーツです。こんな異色の組み合わせが実現したのも、高梨さんの「観光やショッピング帰りには、絶対に甘いものが食べたくなる!」という女性ならではの視点が生かされたからこそ。マグロ尽くしのランチを食べた後は、地元野菜の優しい甘さに癒されて三浦の味覚を満喫したいものです。

農業の安定にもつながった「野菜の加工品づくり」

野菜の市場価格は、通常気候や社会情勢に大きく左右されるので、「作った後」に価格が決まる野菜の栽培は安定しているとは言えません。生産過程でついたちょっとした傷のせいで市場に卸せない野菜が出てしまうのも仕方ないこと。でも見た目の問題だけで、味や品質に遜色はありません。野菜を自分たちで定価を決められるジャムやピクルスなどの加工品に活用することで、販売が安定しただけでなく、食品ロスも抑えられるようになったそうです。また野菜の生産から直売、さらには加工品の製造や販売まで広げることで、収益だけでなく雇用も安定。「少しずつですがうまく回り始めてきたかなと実感しているところです。」と高梨さんは語ります。

食に欠かせない「器」の魅力も伝えたい

「手土産いろいろ三浦ストア」の一角に、お皿や茶碗といった和食器が置かれたスペースがあります。こちらは高梨さんのご主人、武晃さんが手掛ける「讃々舎」の商品です。自ら全国各地を回って集めたという骨董品や、こだわりの品を、三浦で手に取ることができます。
その種類は陶器や漆器、ガラス製品、金属製品などさまざま。有名無名にこだわらず「日常の美」を感じられる作品を選んでいるのがわかり、器への強い愛情がうかがえます。
「讃々舎」の店内には、食器だけでなく染物や古着まで、さまざまなアイテムが所狭しと並んでいます。もしかしたら今日も新しい美を求めて全国津々浦々を旅しているかもしれないので、連絡を入れてから来店すると安心です。

野菜の生産や直売、加工品の製造・販売、そして料理に欠かせない器。気がつけば高梨さんの目の前には、「食」に関わる一連の流れがすべて揃っていました。「これらを一つに集めて、三浦野菜のテーマパークのような場所をつくりたい。」と将来の夢を語る高梨さん。願いが実現する日も、そう遠くないはずです。

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