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元気もりもり山森農園
山森壯太さん

大手企業から転身!再認識した三浦半島の魅力

元気もりもり山森農園 山森壮太さん

三浦半島の南端にほど近い三浦市の南下浦に、二代にわたって農業を営む「元気もりもり山森農園」が あります。三浦半島では先駆けとなるICT(温度や湿度、土の成分といった環境データを数値化して管理し、農業に役立てる技術)の導入やGAP認証(農業の生産工程を管理することで、食品や労働環境の安全を持続するための取り組み)の取得といった最先端の農園経営に加え、就労継続支援B型事業所の設立など農福連携にも力を入れている若き二代目社長、山森壮太さんの力強い歩みを追いかけます。

会社員時代に抱いた違和感が転機に

生まれも育ちも三浦市という山森さんは、生粋の「三浦っ子」。しかし、地元に残って農家を継ぐ気持ちはなく、 東京の大学を卒業後、大手企業に就職します。折しも時代は、業界の大手同士が吸収合併するなどシェア争いが激しさを増していた頃。山森さんは売上を伸ばすべく、転勤を繰り返して各地を駆け回っていたそうです。 しかし、業績が上がれば上がるほど、とある違和感に苛まれることに。それに気づいたのは、仕事で車を運転している最中でした。まったく違う場所なのに、全国チェーンの店が立ち並ぶ国道沿いの似通った景色を眺めていると、今後もこんな景色が増え続けるのだろうか、会社員として働くことが生きがいだったと年を取った時に言えるだろうか…。そんな思いが頭をよぎったと言います。

右も左も分からない農業初心者を支えた、ICTの導入

本当にこれでいいのかな、という思いが強まった時、今でも昔ながらの商店や家族経営の飲食店などが多い三浦半島の景色を思い出し、地元に戻って二代目として就農することを決心します。もちろん、先代の後を継いだばかりの山森さんは、文字通り右も左も分からない農業初心者。周りのベテラン農家さんから「ここは育つ」「ここはだめ」などとアドバイスをもらっても、意味がまったく分からなかったそうです。

そこで、足りない経験を補うために温度や湿度を常にデータとして把握できるようICTを導入。就農して9年、 データと感覚のズレが理論的に分かるようになってきた山森さんは、先代から引き継いだ農地を自分の力で少しずつ増やし、今では3ヘクタール(東京ドームの3分の2)にも及ぶ畑を管理しています。

障がい者が農業に関われる環境を整備

山森農園の特徴の一つとして、農業を障がい者の就労の場として活用していることが挙げられます。実は先代の頃から、障がいを持つ方たちを雇用していました。山森さんは「農業初心者の自分が継いだら経営が傾くのは必至、解雇しなければならないだろう」と覚悟していたと言います。それでも何とか共に働く方法はないかと考えていたところ障害者自立支援法が改正され、障害福祉制度は地域の実情に応じて、身近に利用でき、地域で「働き暮らす」ことに重点が置かれました。
そこで山森さんは、就労継続支援B型事業所として福祉作業所(株)虹の橋を設立。障がいを持つスタッフと一緒に働き続けることができました。実はGAP認証を取得したのも、障がいを持つスタッフにとって働きやすい環境を整えるためだったと言います。
分業化やルール化にしても、生産工程をどう見直せばいいのか分からなかった山森さんは、GAPを活用して業務の安全性や効率を高めることに取リ組みます。その結果、労働安全や営農コストの削減という、思いがけない副産物も付いてきたそうです。

野菜が元気に育つ!三浦半島の太陽の恵みと潮風

関東圏で唯一、冬場に野菜がよく育つと言われている三浦半島の特徴は、温暖な気候と三方を海に囲まれていること。海に近いと心配なのが潮風の影響ですが、実は海からの風のおかげで一年中風通しが良い状態がキープされているそうです。野菜にとって、風通しの悪さは病気の原因になります。それは、植物の病気のほとんどは「湿気」や「ムレ」が原因となるからです。しかし三浦半島では、潮風のおかげで湿気がこもらずムレも少ないため、太陽の恵みをいっぱいに浴びて野菜が元気に育つと言います。
それに海からの潮風は、たっぷりとミネラルを運んできます。ミネラルが植物の発育を促進してくれることは、昔から知られていました。例えば人参だと、収穫の少し前に「にがり」や「肥料」を薄めて撒くという昔ながらの伝統的な農法もあるのだとか。しかし三浦半島では、毎年夏から秋にかけて台風がミネラルを含む海水を吸い上げて畑全体にまいてくれます。それはまさに、肥料の葉面散布そのもの。こんなところにも、三浦半島がいかに農業に適した土壌であるかを伺い知るヒントが隠されていました。

山森農園の代名詞、三浦の逸品「海育ちのにんじんジュース」

山森さんが作る「海育ちのにんじんジュース」は、甘味料や香料、着色料を一切使わないため、人参本来の甘味や旨味が存分に楽しめる三浦半島の名物商品。720mlの「にんじんジュース」に、約1.6kgもの厳選された人参が使用されています。人参が苦手な方でも美味しくいただけると評判です。 特徴はフルーティで飲みやすく、化学肥料や農薬はできるだけ減らした人参を栄養価のある皮ごと使用しているため、β―カロテン、食物繊維が豊富。さまざまなメディアでも紹介されています。
ところで、どうして「人参」だったのでしょうか?三浦市では、大根やキャベツが国の指定産地に、スイカが県の指定産地になっています。しかし、これらは足が早く市場で勝負するには鮮度が命となるため、農家さんとしては販売計画が立てにくいという一面もあるのだとか。一方で、いわゆる常備野菜として人気のじゃがいもや 玉ねぎ、人参は、常温で長期保存が可能です。その中でも人参は、市場相場の変動が少なく価格が安定し、甘く栽培することで差別化も図れます。農業経営の安定のため、山森さんは人参の栽培を取り入れたそうです。


農業を長く続けてるうえで欠かせない「利益を出すこと」や「雇用を維持し続けること」の重要性を、しっかりとご自身の言葉で語ってくれた姿がとても印象的でした。休日はお子さんと一緒に磯遊びやソレイユの丘でアスレチックに興じているという山森さん。地域の個性を失わず、豊かな自然に恵まれた三浦半島の魅力を再認識している日々だそうです。